国際研究集会2019 CEFRの理念と現実

 日時 2019年3月2日(土),3日(日)
 会場 京都大学人間・環境学研究科地下講義室
    同時通訳あり

参加費 1日500円(資料・通訳機器代)
集会サイト:http://www.flae.h.kyoto-u.ac.jp/kaken2018/
参加申込み:https://goo.gl/forms/saIBriyiU6fSg7BM2

開催趣旨

 CEFRは公開されて17年が経過し,言語教育界の「標準モデル」として世界各国の言語教育に圧倒的な影響を与えている。2018年にはCEFR補足版が刊行され,CEFRは言語コミュニケーションに関わる能力を網羅的に測定しうる装置へと進化しつつある。

 日本においてCEFRはほぼ無批判的に受容され,英語教育のカリキュラムであるCEFR-Jや,日本語教育のカリキュラムであるJapanスタンダードといった個別言語のカリキュラムがCEFRを参照の上で作成され, CEFRに準拠した外国語教育のカリキュラムを作成し,さらに個別のCAN-DOを制作している学校もある。さらには2020年からの大学入試にCEFRの共通参照レベルを導入することが検討され,CEFRは日本の外国語教育の中核へと位置づけられつつある。

 しかし,CEFRとはヨーロッパ統合の流れにおいて作成された教育資材であり,ヨーロッパ統合と無関係の日本で導入することにどのような根拠があるのか。CEFRは言語能力の測定装置としては利用されているが,はたして複数言語の学習や教育の価値は推進されているのだろうか。CEFRの訴える外国語教育の理念は日本の教育現場においてどれほど意識されているのだろうか。また、多文化共生社会の実現には貢献しているのだろうか。

 国際研究集会「CEFRの理念と現実」では,CEFRの理念を教育学的観点だけではなく,社会学的次元においても検証し,実際の運用を批判的に討議し,CEFRの特長と限界を明らかにし, CEFRの包括的な理解をめざす。

プログラム

3月2日
9:30 受付
10:00 – 10:30 代表者あいさつと導入「CEFRとはなにか」西山教行(京都大学)
10:30 – 11:15
講演1 安江則子(立命館大学)
「欧州における『多様性の中の統合』と言語」
   指定討論者:ナタリー・オジェ(モンペリエ大学)
11:15 – 12:00
講演2 エンリカ・ピカルドー(トロント大学)
「言語教育のダイナミックで複言語的な展望に向けて:CEFR補足版」
   指定討論者:モニカ・シルモイ(広島国際大学)
12:00 – 13:00(昼食)
13:00 – 15:00
シンポジウム1  CEFRの受容をめぐって
ジェレミー・ソヴァージュ(モンペリエ大学)
「通常の教育システムと大学おける外国語としてのフランス語の発音教育に対するCEFRのインパクト」
藤原三枝子(甲南大学)マルギット・クラウゼ小野(室蘭工業大学)
「CEFRの開発者、翻訳者、使用者が語る発表当初と現在の批判、およびベルリン州立ヨーロッパ学校にみる複言語・複文化的能力の可能性」
真嶋潤子(大阪大学)
「日本語教育におけるCEFRとCEFR-CVの受容について」
程遠巍(流通科学大学)
「台湾におけるCEFRの利用と課題について」
   司会:倉舘健一(慶應義塾大学)
15:00 – 15:30 休憩
15:30 – 17:00  
ワークショップ1  エマニュエル・ユヴェール(トゥール大学)[フランス語]
Travailler avec la notion d’erreur dans une perspective plurilingue ≪ diversitaire ≫.
ワークショップ2  野澤 督(大東文化大学)[日本語]
「CEFRと日本におけるフランス語学習の指針」
ワークショップ3  エンリカ・ピカルドー(トロント大学)[英語]
Mediation at the core of language learning: from descriptors to classroom practice
17:00 – 17:45
講演3  エマニュエル・ユヴェール(トゥール大学)
「ファントムに共感を ― さまざま言語の影(響)とCEFRの目指す模範的な網羅性 ―」 
   指定討論者:藤原三枝子
18:00 – 18:30 ミニコンサート Aster & Edgar
19:00から
懇親会(3500円,要予約)

3月3日
10:00 – 10:45
講演4:榎本剛士(大阪大学)
「CEFRにとって「英語教育」とはいかなるコンテクストか ― これからの批判的対話に向けて ―」 指定討論者:エマニュエル・ユヴェール 
10:45 – 12:45
シンポジウム2  CEFRの理念をめぐって
細川英雄(早稲田大学)
「複言語主義をどう解釈するか ― 欧州評議会の理念と日本社会 ―」
エマニュエル・アンティエ(福岡大学)
「複言語のユートピアと現実の教育 ― 欧州評議会の仕事に対して批判的距離をとる ―」
ナタリー・オジェ(モンペリエ大学)
「言語学と社会 ― 言語とアイデンティティ ―」
牲川波都季(関西学院大学)
「CEFRと日本の外国人受け入れ政策」
   司会 大山万容(立命館大学)
12:45 – 13:45 昼食
13:45 – 14:30
講演5 ナタリー・オジェ(モンペリエ大学)
「多言語の学習に対してCEFRはどんなインパクトがあるのか」
   指定討論者:細川英雄
14:30 – 15:00 休憩

15:00 – 17:00
シンポジウム3  CEFRと入学試験をめぐって
鳥飼玖美子(立教大学)
「大学入学共通テストにおける民間英語試験の導入とCEFR」
阿部公彦(東京大学)
「CEFRの福と災い」
   指定討論者:エンリカ・ピカルドー
   司会ならびにまとめ:大木 充(京都大学)

主催:科学研究費助成事業(基盤研究B)「『ヨーロッパ言語共通参照枠』に関する批判的言説の学説史的考察」(代表:西山教行)