「大学教育の国際化と英語」(通訳付)

日時:2014年11月27日(木) 18時30分~20時30分
場所:日仏会館 501号室(アクセス http://www.mfj.gr.jp/acces/index_ja.php)

講師:Claude Truchot(クロード・トリュショ)(ストラスブール大学名誉教授)
   専門分野:社会言語学、言語政策論、英語学(国家や企業などにおける言語政策についてのその手堅い研究でフランスでは第一人者といえる。また、欧州評議会Conseil deの言語政策、言語教育政策にも専門家として深く関わり、ストラスブール大学においてはヨーロッパの複言語主義についての研究グループを立ち上げている。)
履歴については次を参照:http://www.diploweb.com/_Claude-TRUCHOT.html
コメンテーター:河添 健 (慶應義塾大学総合政策学部 学部長)専門は数学
司会・通訳:古石篤子

※会場準備の都合上、次のアドレスに「参加希望」と書いて申し込みをお願いします。akakアットマークsfc.keio.ac.jp

<開催趣旨> 

 現在日本でも多くの高等教育機関(大学)において、「国際競争力をつけるために」英語による授業の設置が推進されている(例、「グローバル5大学」、「グローバル30」、「スーパーグローバル大学」等)。だが、そのもたらす功罪については残念ながらこれまできちんとした議論はなされていない。多くの関係者がメリットと同時にデメリットも感じている今、一度きちんと議論を喚起し、問題を様々な角度から整理して検討する必要がある。このことはこれからの日本の高等教育機関が「真の国際競争力」をつけるためには喫緊の課題ではないだろうか。

 一方フランスでは、昨年7月に「高等教育と研究に関する2013年7月22日付no.2013-660法(通称Fioraso法)」が公布され、この法律の第2条では高等教育機関での使用言語について詳しく定められている。この法案の審議過程では国会の内外で様々な激しい議論が展開された。Truchot氏はまさにこの分野で積極的に発言してきているが、私たちは氏を日本に招くことにより、フランスでの議論や論点について知見を深め、そのことにより日本の高等教育機関における真の国際化とは何かについて考えを深める機会としたい。

 また、日本の大学における以上の動きは、当然にも外国語教育のあり方とも並行して進んでいる。現在の日本の学校教育では外国語教育の英語一極集中化が進んでいる。そこでは英語のスキルアップのみがめざされ(2013年政府教育再生実行会議の提言、小学校英語教育の教科化、公務員試験での外部英語試験採用、等々)、視野狭窄に陥っている感すらある。この傾向は、世界においては国際補助語としての英語と共に複言語主義の重要性が徐々に認識されてきているなかで、かなり特異であるといえる。

 このようななかでTruchot氏をお招きしての講演は、幼稚園から大学までのわが国の教育機関における言語教育政策を全体としてとらえかえす機会となるであろう。また、実際に英語による授業が数多く展開されている慶應義塾大学の河添教授をコメンテーターにお招きし、「現場の声」の本音もお聞きしたい。
以上。